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のんびりと更新します。

種苗法改正とゲノム編集の関わり


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こちらの「種苗法改正について」まとめられた文章は、「歴史未来ラボ」様の動画を文字起こししました。今で投稿した動画を見ると憲法に詳しい方のようで、憲法家のような洞察力をお持ちの方です。動画を見るのが苦手で面倒な方もいらっしゃると思うので、主要な部分まで飛ばして読まれる方の為に 文字起こししました。

 

https://youtu.be/m_ntoYxftt8

【歴史未来ラボ】

 

今まで 種苗法改正について色々と考察してきましたが、「歴史未来ラボ」様と、私の結論と全く同じで、更に見事に整理されて分かりやすいです。種苗法改正で何が変わるのか。その後に、私たち一人ひとりが出来ることを提示していこうという試みをしています。 ここでは、一つ一つエビデンスを取るのが必要でしょうが、それは後の作業にします。 

では よろしくお願いします。



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種苗法改正は、今年3月3日で閣議決定され、内閣は法案を国会に提出し、2021年4月の施行を目指していました。

 

この改正は、農家だけではなく 消費者一人ひとりの生活に関わってきます。しかし、マスコミではほとんど取り上げられません。

 

インターネットで調べた限りは、それを取り上げて問題提起している新聞社は中日新聞くらいでした。

 

一方で、マスコミが流す情報は、ほとんど新型コロナのことです。

 

確かに重要なことではありますが、私たちの生活に関わる 重大なニュースはそれだけではありません。

 

マスコミが一つの何かに騒いでいる一方で、報道の騒ぎを隠れ蓑にするように重要な法案が通されることは往々にしてあります。(スピン報道)

 

今回もいつものパターンでしょうが、
種苗法が改正されることで、何が変わり、私たちの生活にどう関わってくるのかを、あまりイメージ出来ない方もいらっしゃるとかもしれません。

 

後で詳しく説明しますが、この法改正によって知らないうちに、私たちの食卓に並ぶ食材が大きく変わってしまう可能性がかなり高くなります。

 

今回の動画では、その改正によって、何がどう変わるのかを話し、その後に私たち一人ひとりが出来ることを提示していこうと思います。


そもそも 種苗法とは何かを整理していきましょう。


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種苗法の原型として、戦後間もない 1947年に、農産種苗法が施行され、1978年に種苗法が成立し、1998年に今の種苗法が改正されました。

 

これは、種と苗の知的財産権を守る法律で、新たに品種登録されると育成者権が発生し、その後25年は登録種を無断で売ったり、譲渡することは出来ません。

 

しかし、農家が種を自家採取したり、挿し木などで増殖することは原則自由でした。

 

一方で、例外的に自家増殖が禁止されているものもあり、その数は1998年には23種、2006年には82種、2018年には一気に356種に増え、2019年には387種になりました。f:id:mickymagicabc:20200709215202j:image

禁止の数が増えて、農業関係者の間では問題視されていたのですが、今回の法改正が通ると、それが一律禁止に変わってしまいます。違反すると10年以下の罰金か、または1000万円以下の罰金が科せられます。

https://www.agrinews.co.jp/p50066.html

日本農業新聞


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昔から日本にある在来種や非登録品種、登録期限が切れた品種は、今までと同様に自家採取できますし、家庭菜園であれば、育成者権のある登録品種でも自家増殖できるので、その点はご安心下さい。

 

種に関しては、流通している種のほとんどはF1種で、ほとんどの農家は自家採取することなく、植え付けのたびに種を買い続けてきたので、種苗法が改正されても実態は、ほとんど変わりはないかもしれません。


F1種とは1世代目の種のことで、メンデルの法則の一つ、優勢の法則を利用して形や大きさが均一に収穫できる種のことです。現在、殆どのF1品種の種苗は海外で作られています。

http://nou-ledge.com/2017/08/23/170823_f1/

【農legte】

遺伝の法則によって、2世代目以降は形や大きさがまばらになってしまうので、ほとんどの農家は種を自家採種することなく、ホームセンターなどで新たに種を買っています。そのほうが農家にとっては生産性が良いからです。

 

そのため、法が改正されたとしても、実態はそこまで変わらないかと思います。

 

多くの農家にとって、一律禁止されることで問題となるのは種取りではなく挿し木や株分けなどによる増殖の方だと思います。

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増殖というのは、例えば、トマトの苗から小さな脇芽が出るとその脇芽を取って、新たに土に植えて増やすという栽培技術のことです。芋でも親株からランナーという蔓が伸びたものを土に植えて増やしたりします。

https://saitodev.co/article/%E8%84%87%E8%8A%BD%E3%82%92%E7%9F%A5%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%80%81%E6%8C%BF%E3%81%97%E6%9C%A8%E3%82%92%E7%9F%A5%E3%82%8D%E3%81%86

【脇芽を知って、挿し木を知ろう】

自家増殖原則禁止とは、これらも禁止するということです。

 

水産省の説明によれば、禁止するのは、登録品種だけで登録品種というのは種子全体の5%ほどだから、心配することではないと話していますが、登録品種と知らずに自家増殖している農家がいるという例は各地で報告されています。

https://www.maff.go.jp/j/shokusan/shubyoho.html

農林水産省HP 種苗法改正】
例えば鹿児島の農家が、在来種だと思って自家増殖していた紫芋を改めて調べてみたら実は登録品種だったとか。

 

農林水産大臣山田正彦氏によると、栃木県のある農家が、伝統的な品種だと思って、株分けすることで増やして販売していたウドが、芳香1号2号という名前で平成24年に登録されていることが判明したこともあったといいます。

https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/3020199183


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種苗法が改正されると、登録品種は一律自家増殖が禁止になるので、毎年対価を払って許諾を得るか、苗を全て購入しなければならなくなります。

https://www.jeinou.com/mobile/benri/others/2016/11/161410.html

【ウドの根株養成の方法】

そうなるとウドの株分けができなくなり、新たに500万円の負担増になるので、今までと同じ農業は続けられないと嘆いていたそうです。

http://xn--m9j881n25q.jp/cat9/post_369.html

【ウドの大木にならないようにね】

さらに農水省は、毎年約800種の新品種の育種登録を認めているので、伝統的な在来種と勘違いして、知らないうちに犯罪をしてしまうという事例が増えていくことが考えられます。

 

これでは農家の活動を大きく制限してしまいます。

 

そもそもなぜ農林水産省は、農家の自家増殖を制限しようとしているのでしょう。

 

その理由に「育成者の正当な利益を確保すること」と「品種の保護を強化すること」などを挙げています。

 

この背景には、中国に苗木が流出した「シャインマスカット」や韓国に流出して、育成者権が保護されなかったイチゴの「とちおとめ」や「レッドパール」などの事例が影響しています。


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https://www.maff.go.jp/j/shokusan/attach/pdf/shubyoho-6.pdf

農林水産省HP  法案参考資料】

そういった優良な育種知見が海外に流出するのを防いで、日本の市場を守るために種苗法の改正が必要だというのです。

 

しかし、国内の品種を育成者権者の許諾なしに、生産か輸出目的で海外に持ち出すことは、今の種苗法でも禁止されています。

 

いくら国内法を厳しくしたからといって、海外の盗人を完全に取り締まれるわけがありません。

 

物理的に阻止するのであれば、空港での荷物検査や、輸出に関するルールを厳しくするべきでしょう。

 

また海外において権利を主張するには国内での登録とは別に、各国で品種登録をする必要があります。

 

品種保護制度は「植物新品種の保護に関する国際条約(UPOV条約)」により国際的な枠組みが整備されており、育成者権は国ごとに取得することが決められています。

 

つまり、海外で品種登録されていない場合は、その国で育成者権を主張できないのです。

 

海外の流出を防ぐというのなら、本当にすべきことは、種苗法の改正ではなく、海外での品種登録を促し、資金面でも支援することでしょう。

 

農林水産省食料産業局知的財産課のWebベージを見る限りは、2016年頃から海外の品種登録の支援を始めています。

https://www.alic.go.jp/koho/kikaku03_001040.html


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具体的には、海外出願のマニュアルを作成したり、出願にかかる経費の支援をしています。

 

海外への流出を防ぎたいのであれば、それに注力すればいいのです。

 

また政府や農水省は海外への流出を懸念しておきながら、2017年に成立させた農業競争力強化支援法の8条4項で「日本が国や都道府県で開発した優良な種苗のデータを民間企業へ提供すること」としています。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=429AC0000000035#36

17年の3月23日の衆議院本会議において、日本共産党の畠山議員が同支援法において、国籍などの要件がないことから、外資の参入の可能性を問いかけたところ、農相は「事業者の国籍に関係がありません。外資企業が支援措置を活用することも可能でございます」と答弁しました。

【2017年3月23日、農業競争力強化支援法、衆議院本会議 映像】

http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=46853&media_type=

つまりこれは、戦後から積み重ねてきた公的機関の種苗の知見を、外資を含む民間業者に提供することを言っていることになります。

 

種苗の海外流出を防ぐために、種苗法を改正するといいながら、外資にも種苗の知見を提供するというのです。

 

これでは種苗の海外への流出を防ぐという法改正の理由は、詭弁だと言わざるを得ません。

 

また、日本の品種登録出願数は少ないので、今後世界的に日本の農業の競争力を高めるために、種苗法の改正の必要性を訴えています。

 

しかし、これも前述したように、海外で品種登録しないことには、海外で権利主張できないので、本当に競争力を高めるのであれば、海外での品種登録をさらに促進することが必要です。

 

いつものことですが、政府高官や官僚たちの狙いは、別のところにある可能性があります。



この種苗法改正の狙いを考察するにあたって、この改正案を単体ではなく、2017年に成立した「農業競争力強化支援法」と2018年の「種子法廃止」をセットで考える必要があると思います。

 

また、日本以外の世界の趨勢や、ゲノム編集などを絡めて考えないと全貌が見えません。

では、それらを含めて、今回の種苗法改正の狙いを考察していきたいと思います。

 

まず、現在の日本政府は全体的に、どういう方針をとっているのかをみていきましょう。


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安倍総理は2015年9月28日に、ニューヨークにおける対日投資セミナーにおいて「世界で一番ビジネスをしやすい国を目指す」と発言し、日本への投資を海外の投資家に呼びかけました。

 

その意向は実際の動きにも反映されており、様々な業界のルールが変えられています。

 

まず、農業分野からみると、2016年4月に農地法が改正され、日本の農地を農業とは全く関係のない外国企業でも買いやすくなるようにルールを変えられていますし、農薬の規制に関しても世界の趨勢に逆行して規制緩和しています。

【農業委員会日常業務のQ&A(ver.2)p26】
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2015年5月19日に日本政府はネオニコチノイド系農薬の「クロチアニジン」などの食品残留基準を大幅に緩和しました。

 

「クロチアニジン」はEUでは屋外での使用を全面禁止にされており、スイス、トルコ、韓国でも使用禁止されています。

http://organic-newsclip.info/nouyaku/regulation-neonico-table.html

有機農業ニュースクリップ】

クロチアニジンはドイツのバイエル社住友化学の2社が特許を持っているのですが、その住友化学から基準値引き下げの要望を受けて、農水省が改訂を申請したといいます。

 

さらに、日本政府は翌年にも別のネオニコチノイド系農薬の残留農薬基準も引き下げました。

 

ネオニコチノイド系農薬は、環境や人体への影響も懸念されていますが、2006年以降、先進国を中心に世界各地で報告されているミツバチの大量失踪の原因の一つとして、ネオニコチノイド系の農薬がミツバチの神経系を狂わせるなどの悪影響を及ぼすことが挙げられています。(参考、岡田幹治著「ミツバチ大量死は警告する」)http://hakaihisan.cocolog-nifty.com/blog/2015/03/post-a60d.html

【墓石さんのブログ】

 

ネオニコチノイド系農薬のミツバチ対する影響は賛否両論ありますが、ミツバチの死骸から最も多く検出されたのは、ネオニコチノイド系農薬だったという報告もあります。

https://www.greenpeace.org/japan/sustainable/story/2015/02/06/2688/

【国際環境NGO グリーンピース

スイスに本部が置かれている、世界最大の自然保護機関、国際自然保護連合(IUCN)の研究者たちの報告によると、ネオニコチノイド系農薬が鳥類や昆虫類の激減の主要な要因にもなっているとされています。

 

また、モンサント社が開発したグリホサート農薬は、ヨーロッパや中東や南米などで使用禁止したり、制限をかけようとしている国や地域が続出しているのですが、これもまた日本では2017年12月に残留基準値を最大で400倍緩和しています。

http://organic-newsclip.info/log/2017/17120875-2.html 

有機農業ニュースクリップ】

 

日本でもラウンドアップという商品名で、家庭でも気軽に使える除草剤として、ホームセンターなどで大々的に販売されているので、見たことがある人も少なくないと思います。

 

ちなみに日本での商標権と生産販売店は、2002年に日本モンサントから日産化学工業(現日産化学)へ譲渡されています。

 

モンサント社が開発したグリホサート農薬の環境汚染や、人体への悪影響については世界では散々取り上げられており、様々なところで裁判沙汰になっているのですが、日本はそれを知ってか知らずか、規制緩和に踏み切っています。

 

つまり、どういうことかというと、ネオニコチノイド系農薬やグリホサートなどのバイオ系の多国籍企業の商品が、世界で禁止や制限される傾向にあり、売上もどんどん下がってしまうので、その減少分を埋め合わせるように日本に押し付けようということになっていると考えられます。

https://www.msn.com/ja-jp/news/national/%E8%BE%B2%E8%96%AC%E3%80%8C%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%9B%E3%82%B5%E3%83%BC%E3%83%88%E3%80%8D%E3%80%81%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%AF%E5%89%8A%E6%B8%9B%E3%83%BB%E7%A6%81%E6%AD%A2%E3%81%AE%E6%B5%81%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%AE%E3%81%AB%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AF%E7%B7%A9%E5%92%8C/ar-AAHBoR7 【ハーバービジネスオンライン】

日本政府は今の安倍政権に限らず、基本的に外圧に非常に弱いです。

 

歴代政権はアメリカ政府による年次改革要望書(1993年~2009年)やアメリカのシンクタンク戦略国際問題研究所CSIS) によるアーメテージレポート(2000、2007、2012、2018)などに従っています。

 

今の安倍政権はそれが顕著と言えるだけであり、敗戦後の GHQ による統治以降は、今でも実質アメリカの属国状態であり、その構造に群がるように、多国籍企業が国内の利権をむさぼっています。

 

今の安倍政権は、さらに国内の大企業や外資多国籍企業がより有利な社会に変えようとしており、農薬や水道事業に見られる規制緩和や民営化は、そのほんの一部にすぎません。

 

ここでは詳細に触れませんが、酪農でも林業でも漁業でも、各業界を保護する法律が、2016年あたりからどんどん改正されており、大規模な企業がどんどん参入しやすくなっており、外資規制もかけられていません。

 

これらのことは、堤未果氏の著者「日本が売られる」に詳しいので、詳細が気になる方はそちらを読んでみてください。

https://bookmeter.com/books/13156185

【感想・レビュー  読書メーター


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ここで一旦話をまとめると、今の日本は経団連をはじめとする国内の大企業や外資系の多国籍企業がより有利な社会に変えられつつあります。

 

TPPや日米間の貿易協定はその土壌づくりの一環というのは言うまでもありません。

そういった流れの中で、2017年に農業競争力強化支援法が成立し、2018年4月に種子法が廃止されました。

 

種子法に関して簡単に説明すると、1952年に制定された法律で、国が補助金を出し、都道府県がコメ、麦、大豆などの主要農作物の種の開発、増殖に責任を持つという体制が築かれ、そのおかげで、全国の農家は安定して優良な種を安価で買うことができていました。

 

しかし、民間企業の開発意欲を削いでしまうという理由で、種子法が廃止され、国からの補助金がなくなってしまいました。

 

そうなると、種子法によって守られてきた安価で優良な公共の品種が失われ、三井化学住友化学、日本モンサントなどの大企業による品種寡占のレールが敷かれてしまいます。 

 

実際、日本ではすでに、三井化学の「みつひかり」住友化学の「つくば SD」日本モンサント「とねのめぐみ」などの籾米が流通しています。

 

公共の種がなくなり、民間の種ばかりになると、今後は種の価格が上げられるとともに、農作物の価格も上がってしまうことが考えられます。

 

民間企業は利益が第一で、株主などに報酬を与えないといけないからです。

 

生きる基本としての「食」を「市場原理」に任せてしまうと、生活の根幹が揺るがされてしまう可能性が高くなります。

 

そういった事態にならないためにも、山形県新潟県富山県、埼玉県、兵庫県、長野県、北海道などは、種子法に変わる「種子条例」を独自で制定しました。

https://biz-journal.jp/2019/06/post_28187.html

【地方の反乱  種子条例】

しかし、国からの補助金はなくなっているので、前より厳しい状況であることには変わりはありません。


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また、それ以外にも懸念すべきことがあり、2017年に成立した農業競争力強化支援法(8条4項)で「日本が国や都道府県で開発した優良な種苗のデータを民間企業へ提供すること」とありますが、外資にも提供される可能性のある種苗データは、遺伝子情報も含まれることが考えられます。

https://www.jpo.go.jp/system/patent/shutugan/bio/gene/index.html#tmp_header

【遺伝子配列データ特許出願について 特許庁

もし遺伝子情報も渡されるとなると、日本が開発してきた遺伝子情報を編集されることで、ゲノム編集食品が開発され、特許化されることが考えられます。

 

ゲノム編集とは遺伝子の特定部分を酵素で切断して、変異を誘発するという新たな技術です。

 

一つの作物に別の作物の遺伝子を組み込む遺伝子組み換えとは違います。

 

ゲノム編集によって「アレルギー物質の少ない卵」や「収穫量の多い稲」「身の多い真鯛」「血圧を下げる成分が多いトマト」「切っても涙が出ない玉ねぎ」などがすでに開発されています。京大発の肉厚真鯛は 約2年で商品化できるといいます。

http://www.kyoto-u.ac.jp/kurenai/201809/taidan/

 

これだけ聞くと、メリットばかりのように思えますが、ゲノム編集は始まったばかりの技術で、まだまだ解明されていないことが多く、危険度も未知数です。

 

狙った遺伝子とは別の遺伝子を切断することによって生じるリスクもあります。(クリスパーキャス9の不確実性)

 

 https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=4305861609440636&id=100000505175335

【ゲノム編集が二重の意味で大変なことになっている】

 

 

DNA を切断する酵素は、研究者が設定して作成するのですが、作成者のミスで、狙っていたものとは別の部分を切断して、想定外の変異を誘発してしまう可能性があります。これをオフターゲット変異と言います。

 

例えば、じゃがいもが日光にさらさると、毒を生成し、緑色に変色しますが、その緑色にする遺伝子を切断することで、毒が生成されていても、緑色にならず、気づかずに食べてしまうという恐れがあります。

 

そういったリスクを考慮して、EUでは白か黒かはっきりしないものは、取り入れないという「予防原則」に則って、ゲノム編集に対して、遺伝子組み換え同様の規制をかけていますが、日本の動きはそれとは逆です。

 

日本では「ゲノム編集は遺伝子組み換えではなく、従来の品種改良と差はない」との理由で厚生労働省によって「安全性の審査が不要」となり、ゲノム編集の食品の届出制度が昨年10月から始まりました。

 

今後ゲノム編集の食品が日本でも増えていくことが考えられますが、食品表示義務はなく、見た目はほとんど変わらないので、どれがゲノム編集食品で、どれが従来の野菜か、消費者が判別することは不可能に近いでしょう。

 

スーパーマーケットに並べられる野菜が、ゲノム編集のものだけになることも考えられます。

 

さて、ここまでみると、種苗法の改正の本当の狙いが見えてきたのではないでしょうか。

これはあくまで私の見方でがありますが、種苗法の改正は、今後どんどん新しく品種登録されるであろうゲノム編集の野菜の自家増殖を一律に禁止にするためだと考えられます。

 

自家増殖は従来は原則自由でしたが(例外あり)品種ごとに禁止にするには禁止項目を増やすという行政の手間がかかります。

 

しかし、一律禁止にしてしまえば、面倒な手続きを踏むことなく、ゲノム編集の野菜の自家増殖を禁止にすることができます。

 

農業競争力強化支援法でも、2017年11月の農水省事務官の通知書でも明らかになってきたように、公的な種苗を民間に移すという路線があるので、種子法で守られてきた種子データがバイオ企業に渡されることで、それらにゲノム編集が施され特許化されることが考えられます。

 

見た目はほとんど変わらないので、どれがゲノム編集の種で、どれが従来の種かを判別することが不可能に近いです。

 

となると在来種をゲノム編集され、品種登録されると在来種と勘違いして、自家増殖をしてしまう農家が続出することが考えられ、故意ではなくても罪を問われるという可能性があるのです。

 

遺伝子組み換えやゲノム編集の植物の危険なところは花粉を出すのを止められないことです

 

自分の畑で在来種だけを育てていたとしても、隣の畑の人がそれに近いゲノム編集の野菜を育てていれば、その花粉が飛ぶことで、知らないうちに交雑しまうことも考えられます。

 

もちろん特許のある植物と違う植物 を、交雑させることも犯罪になる可能性があり、それを知らずに自家増殖していることが判明したら訴えられることも考えられます。

 

そんな話、あり得るわけがないと思う人も多いと思いますが、過去の事例をみると、遺伝子組み換えの特許を持つモンサント社が同じようなことをしています。 

 

例えばカナダのナタネ農家、シュマイザーさんはある日、モンサントから脅迫のような手紙を受け取りました。


それはこのような内容でした。

「あなたは我がモンサント社の遺伝子組み換えのナタネを無断で栽培している。特許使用料を払うように。もし支払わなければ裁判所に訴えるぞ」

 

しかし、シュマイザーさんは、自分の畑に遺伝子組み換えのナタネの種をまいたことがありませんし、遺伝子組み換えの栽培をしようなんて、考えたことすらありませんでした。

 

よくよく調べてみると、それは他の畑から遺伝子組み換えの花粉が飛んできて、交雑が起こっただけの話でした。

 

モンサント社が、なぜそのことを突き止めたのかというと、それはモンサント社の私設警察のモンサントポリスが勝手にシュマイザーさんの畑に入って、ナタネを盗み出して分析したからでした。

 

そして、それは裁判沙汰に発展し、シュマイザーさんは一度負けてしまったのです。

 

その後、シュマイザーさんは別の件で、裁判を起こし、和解に持ち込むことに成功しました。しかし、裁判費用などを考えると結果的にはマイナスでした。(猿でも分かるTPPを参照)


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日本で 海外産の巨大なナタネが発見された。

 

このように、モンサント社アメリカやカナダで、何百件もの農家を特許権の侵害で訴え、たくさんの農家がそのせいで破産しています。

 

モンサントの暴虐ぶりはメキシコやインドなどでも有名です。ここでは詳細に触れませんので、気になる方はお調べください。

 

なんにせよ、モンサント社の暴虐ぶりは世界中で有名で、反モンサント運動が広がったことです。

 

その結果、モンサントは世間の批判逃げるように、ドイツのバイエルに吸収される形で、2018年に合併しました。しかし、名前を変えただけと考えたほうがいいです。

 

バイエル社もまた、ゲノム編集に力を入れています。遺伝子組み換えに対する反感は世界中に広がってしまったので、次はゲノム編集というわけです。


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ゲノム編集についても賛否両論です。

推進する科学者の中にはゲノム編集は世界を飢餓から救うという人もいるようですが、果たして本当にそうでしょうか。

 

遺伝子組み替えも「収穫量が上がり、世界から飢餓をなくす」というような謳い文句で推進されました。

 

しかし、収穫量がむしろ下がったという報告もたくさんありますし、遺伝子組み換え作物とセットで使うことを強要される、ラウンドアップによる環境や健康への被害もたくさん報告されています。

 

遺伝子組み換え作物の健康へのリスクも、様々な識者から警鐘を鳴らされてきましたが、科学者側は「科学的」にそれを否定してきました。

 

しかし、科学だけではわからないことはまだまだたくさんありますし、科学的エビデンスというものが覆されるということが往々にしてあります。

 

開発側やその利益に関連する人たちは、科学的見地で理論武装して安全性を訴えますが、まさにその遺伝子組み換え食品を、モンサントの従業員には食堂などで出していない、ということが環境保護団体のFriends of the Earthによって1999年に暴露されています。それが何よりの答えではないでしょうか。 

 

遺伝子組み換えの次に現れたゲノム編集の食品も、安全性がしっかりと確かめられていない段階で、社会実験のように推進するのは大変危険だと私は思います。

 

その利益の享受する科学者たちが、どれだけ安全性を訴えても、信じられるわけがありません。

 

また、種の支配という側面から、ゲノム編集を考察する必要があると思います。


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種を支配するものは世界を支配すると昔から言われていますが、上のグラフを見てわかるように、2014年時点で、種市場たった三社によって、半分以上のシェアが占められています。

 

昨今は企業の買収や統合により、更に寡占化は進んでおりバイエルがモンサントを買収しただけでなく、2017年にダウ・ケミカルとデュポンも経営統合し、ダウ・デュポン社して新たに誕生し、農業部門だけ分離して、コルテバ・アグリサイエンス社が創設されました。

 

また、スイスのシンジェンタも、中国国営の化学会社、中国化工業団に2016年に買収され、今は米中独の三か国がトップの座を争っている形になります。

もちろんその三社は、ゲノム編集の野菜の開発と、流通販売に力を入れています。

 

種を支配することによって農業を支配し、世界の食料を支配できるわけですが、ただでさえ日本では、離農が進んでいるので、こういったバイオメジャーによる、ゲノム編集の野菜だらけになることが容易に想像できます。

 

そういった世界情勢からしても、日本で農業支援強化法が成立し、種子法が廃止され、種苗法が改正治療法されるという一連の流れは、これからゲノム編集の食品を普及させるための、土台作りだったということが見えてくると思います。

 

世界の企業だけではなく、日本企業もゲノム編集の開発を進めています。

 

様々な農薬の特許を持つ住友化学も、昔からある日本の種苗会社大手のタキイ種苗サカタのタネなどもゲノム編集に力を入れています。

 

つまり、日本政府は世界のバイオメジャーや国内の大企業などによる要請を受けて、一連の法改正へと動いたと考えられます。

 

今後、モンサント時代のような、特許を振りかざした訴訟の嵐が巻き起こされることも考えられるので、今のうちに、対策を講じる必要があります。 

 

そういうことが起こり始めると、小規模の農家は、どんどん廃業に追い込まれてしまいます。

 

また少子高齢化と都市への人口集中による、跡継ぎ不足の問題もあるので、日本の農業は、どんどん大企業に集中していくことが考えられます。

 

そうなると、日本の食品がゲノム編集だらけになってしまうということも考えられるのです。

 

個人的な考えですが、種子や苗などの命あるものを、特許の対象にするのはおかしなことだと思います。

 

遺伝子組み換え技術やゲノム編集技術そのものに対する特許なら分かります。

 

遺伝子組み換えにしろ、ゲノム編集にしろ、それらの技術で作られた種子には元の種子が存在し、それは何千年もの間、我々の先祖が工夫しながら繋いできた種子なのです。

また、遺伝子を組み換えたり、編集することができても、その大元の種子の命は人間には作れません。

 

最近では受精卵に対して遺伝子組み換え操作をすることで生み出され、デザイナーベイビーも現れてきています。

 

私には、人類はテクノロジーによる、科学万能主義に陥っているようにみえます。

科学だけが信奉されて、生命とは何かという、哲学的な問題が軽視されているのでしょう。

 

ちなみにインドでは遺伝子組み換えでも、在来種でも、種子の特許は禁止されています。

モンサント社は何度もインドの特許法
を、改悪させようと試みてきましたが、インドはそれをはねつけてきました。


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【ヴァンダナ・ジヴァ著「いのちの種をだきしめて」】



インドではすでに全国各地に無数のシードバンクが作られ、農民に在来種が提供されているほど、種に対する思いが強いのです。

 

しかしそんなインドでも、種子法を改正しようという動きが未だにあるようです。日本では既に廃止されてしまい、種苗法さえも改正されようとしています。

 

しかし、悲観するのはまだ早いです。改正されたとしても私たちにできる対策があります。

 

まず、挙げられる対策法は、地方自治体レベルで、ゲノム編集に規制をかける条例を作ることです。

 

例えば、遺伝子組み換えに対して規制をかける自治体の条例があります。

遺伝子組み換えの商業栽培は日本国内ではありませんが、特に法律で禁止されているわけでもありません。

 

2011年12月1日時点で、71件の遺伝子組み換え作物の国内商業栽培の認可が出ています。

しかし、農林水産省によれば、現在、日本で商業栽培されている遺伝子組み換え植物はバラのみです。(公式データ)

 

それ以外は研究用の試験栽培にとどまっています。なぜ日本では遺伝子組み換えの商業栽培が広がっていないのでしょうか?

 

それは市民の間で遺伝子組み換え作物に対する、嫌悪感が広がっているからであり、作っても売れないからです。

 

しかし、禁止されていないのであれば作る人もいるかもしれないということで、愛媛県今治市では、食と農のまちづくり条例において、市の承諾なくして、遺伝子組み換え農産物を作付けすると、半年以下の懲役、または50万円以下の罰金にしています。

 

北海道でも遺伝子組み換え作物を栽培するにあたって、知事の承認を必要とする条例があります。

 

これらの事例をもとに、地方自治体で遺伝子組み換えだけでなく、ゲノム編集の種子による栽培を条例で規制することができます。


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種子法が廃止されて、独自に種子条例をつくる自治体が出てきたように、種苗法改正後に、栽培が広がることが考えられるゲノム編集作物に対しても、規制をかけることができるのです。

 

お住まいの自治体の役所の人達にアプローチして、危険性を訴えて条例をつくってもらうよう要請することもできます。できれば集団の方が効果的でしょう。

 

農林水産大臣山田正彦氏が、こういった動きを先導しているので、同氏の動向をチェックすると、何か大きなヒントが得られるでしょう。

 

次に挙げられる対策法は、農業や家庭菜園を通して、種を後世に繋げる人をを増やすことです。

 

育成者権が認められていない品種であれば、今までのように栽培し、農作物として販売することも可能で、種や苗においても有償でも無償でも流通させることはできます。

 

また、仮に育成者権を保有している品種であっても、種苗法改正後でも家庭菜園は対象にはなりません。

 

ただし、家庭菜園でも育成者権がある種や苗を有償無償にかかわらず渡すことは種苗法に抵触し、罰則対象となってしまうのでご注意ください。

 

個人的には、品種登録されていないもので、なおかつお住まいの地域の伝統的な在来種を自家採取することをお勧めしますが、どういう種でも後世に種を繋げる人が増えれば、ゲノム編集食品だけになるという未来にはなりません。

 

お家の庭や、プランターでもいいと思うので、家庭菜園から始める人が増えればいいと思います。

 

F 1種の種ホームセンターでも買えますし、在来種であれば通販で購入するか、お住まいの地域の農家か家庭菜園をしている人の中に、伝統的な在来種を自家採取している人もいると思うので、購入するか、物々交換するか、譲ってもらうようにお願いをするといいと思います。

 

その際はその種が育成者権がないかどうかを、しっかりチェックしてから譲ってもらいましょう。

 

相手も育成者権のない在来種だと勘違いして、育成者権がある種を譲渡するかもしれず、そうなると犯罪になってしまいます。

 

そうならないように、農林水産省品種登録ホームページで、品種登録されているかどうかを検索することができるので、そちらでチェックするか、それでもわからない場合は、在来種を扱う種屋さんから直接か、ネットで買うのが一番確実です。

 

広島県には、みんなの共有の財産である種子を守るという先進的な目的で、1988年から伝統的な在来作物の種子を保存、維持管理してきた財団法人「ジーンバンク」があります。

 

今では、稲、飼料作物、豆類、伝統野菜など、5000点以上の種子の保存して、県内の農家に無料で貸し出ししているといいます。

 

最も注目すべき点は、このように伝統的な固定種のデータを保存管理していれば、たとえ今後政府が固定種の自家増殖を禁止してきても裁判で「先使用権」を主張できるとしていることです。

 

こういった素晴らしい組織もあるので希望はまだあります。

 

しかし、このような組織がずっと存続するとは限らないので、私は誰かに希望を託すのではなく、自分自身が動いていく必要性を感じています。

 

私としては家庭菜園を通して、在来種などの種を後世に繋げる人が増えることを願っています。

 

私自身も今後もそうしていきますし、市民レベルで種を共有するネットワークが、全国各地でできる未来を想像しています。

 

自身の利益のために森林を燃やしたり、大量に伐採して自然を破壊する人がいたら、それを非難するだけに留まらず、自分でも木を植えればいいのです。

 

そういう人が増えれば木は増えていきます。

種もそれと一緒で、新たな技術で種を独占しようという人がいるのであれば、自身で種を繋いでいけばいいのです。

 

そういう人が増えれば、古来から続く種もどんどん増えていきます。

 

これに共感して頂ける方は、共に種を未来に繋いでいきましょう。

 

それでは今回はこれで終わりにします。今回のお話はいかがでしたでしょうか。

 

ゲノム編集に対するご意見や、それに対する他の対策法など、新たなアイデアがございましたらコメントでお聞かせいただければ幸いです。



それでは今回も最後までご視聴ありがとうございました。次の動画でお会いしましょう。