もふもふ大好き 怪盗仏陀

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ドゥ・ユ・ワナ・ダンス? 感想

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感想
『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』

友人から『ももクロのミュージカルがあるらしいけどどんなミュージカルなの』と聞かれたことがある。まだ 始まっていない舞台で 勿論 私も観ていない。 私は漏れ聞いている情報を そのまま伝えた。『舞台が始まって 主役の四人が 直ぐに死んでしまうストーリーだよ』 友人『はあ?』

『後は ももクロの楽曲が 全編で使われているよ』
友人『… 』

そうこの ももクロ初のミュージカルは 『ももクロ楽曲 そのものが持っている内容を シーンに合わせてミュージカルに仕立て 物語を作り上げている』簡単にいうと そんなミュージカルです。


ストーリー
舞台が始まって すぐに 舞台の主役 4人が死んでしまいます。そして カナコ以外の3人は 輪廻転生で 生まれ変わります。なぜ カナコだけ 取り残されたのか その理由は『 カナコは馬鹿だから』 死んだことに気づいていないから。


4人が交通事故で亡くなり 4人が現世とあの世の中間の場に現れます。

① 楽曲は3rd アルバム『AMARANTHUS』からの『embryo-prologue』 4人が亡くなり 次の生命の始まりを告げる曲として相応しい。 embryoとは『胎芽』の意味。まだ 胎児になっていない状態を意味します。

4人は 踊ります。
② 楽曲は 同じく3rdアルバム『AMARANTHUS』からの『WE ARE BORN』 若干 ベタではありますが このシーンでは この曲以外 無いでしょう。まさに次の生命に生まれ変わる曲です。
しかし カナコ以外の三人だけが生まれ変わり それぞれのパラレルワールドに向かいます。カナコは自分が死んでいる事を知らないために その世界に取り残されています。

こんな感じで物語は進行します。

ここで 気になるのは 衣装でした。 メンバー全員 白の衣装で 他の出演者 全員が白の衣装です。 フォーメーションが変わると 誰が誰だか。 特に後ろから観ると見分けがつかなくなりました。 カナコは現世では赤のヘッドホンを付けていました。しかし 死後 パラレルワールドの世界では 白のヘッドホンに変わっていました。

全てを無色にする徹底ぶりで ももクロの4色が 全く無い世界で 第一幕は展開します。

そこに 堕天使のミーニャと執事の坂上に出会います。

私は 執事の坂上妃海風さん】の衣装に釘付けになりました。プロモーションはさることながら 一人 めっちゃセクシーな衣装で 大人の魅力満載でした。妃海風さんは宝塚歌劇団出身 元星組トップの娘役です。

更に 堕天使のミーニャ【シルビア・グラブさん】は ボストン大学音楽学部声楽科卒業だけあり 圧巻の歌声です。 数々のミュージカルで活躍されています。

堕天使ミーニャと執事の坂上が お馬鹿なカナコにパラレルワールドの秘密を教えます。 三人が何処に行ったのか? 自分は今 何処にいるのか? そして そのパラレルワールドに入る 時空の鍵があることを。


3人は 別の人格となり 彼女達の記憶は全て失われています。もう二度と4人でダンスを踊ることが出来ない。『嫌だ また4人で踊る。あたしにはそれ以外の世界はないの』


感受性の高いモノノフさんは このセリフで ぐっと来たのではないでしょうか? どうしても 『ももクロ 夏菜子』のセリフとして観てしまいます。夏菜子は ももクロのリーダーで どんな時も メンバーを見ています。私はリーダー夏菜子のリアルなセリフなんだ と感じました。


第一幕で 初回から演出的に 大きく変わった所がありました。 それは カナコのキャラクターです。初日は 夏菜子は普通の女の子でした。 そして ラス前の昨日は コミカルカナコとキャラクターが変化していました。 何故か? このストーリーの 根幹は 『カナコのお馬鹿ぶり』です。 ダンスに夢中になり 死んだことにも気がつかない女の子です。 この『お馬鹿なカナコ』は 全編に渡り 要所ごとに現れる重要な設定です。


しかし 当初は お馬鹿なカナコは 演出上 表現されていませんでした。おそらく 夏菜子がバカなのは ネタになるくらい モノノフでは常識です。その常識を当てにしたのか? しかし それでは 演出的に問題があり その後『カナコお馬鹿キャラクター』を 急遽 作り上げたようです。


更に
漫画家の所十三先生は Twitterで『 何故 堕天使のミーニャが カナコを見守る選択をしたのか? カナコを特別扱いする動機付けが 弱い感じがする』と言っておられます。 所先生は物語を作るプロで 全てに置いて 動機、きっかけ、理由 を大切にされています。


なるほど 初回の違和感 無理矢理感を 一言で言い当てています。


本広監督も『 あれ? これは違う』と思ったところではないでしょうか? 天使のミーニャが ちょっと悪ふざけをしたくなる女の子、特別な女の子になるには 観客も納得する理由が必要です。 更に 第一幕の『カナコのお馬鹿さ』が足りない。この2つの問題を軌道修正し 成り立たせたのでは? と思いました。


これこそが 舞台は生き物だ ということです。毎回 新しい発見があり そして 軌道修正する。 監督のリクエストに 短期間で対応する 女優 百田夏菜子 の凄さを 改めて思います。しかし これだけ 大きなキャラクター変更は ミュージカルを初めて観た 私でも ビックリです。


さて 物語は それぞれのパラレルワールドに入ります。ここから 本広監督の真骨頂 『映画 幕が上がる』を彷彿させるシーンが随所にちりばめられています。


先ずは パラレルワールドのひとつ 『シオリ』が生まれ変わった世界にカナコが 時空の鍵を使い入ります。


シオリは マリッジブルーの新婦でした。『幕が上がる』では しおりんは 『お姫様のユッコ役』でした。私は そのユッコの その後の成長した姿として 勝手に解釈していました。

ただ ユッコを思い出すたびに 父親役の天龍さんを思い出すのが ちょっと難ですが。

そして『幕が上がる』と同じ 一人芝居『肖像画』のシーンを再現し シオリの一人語りのシーンが展開します。そこに カナコが登場します。

シオリには カナコが誰なのか分かりません。生まれ変わって 前世の記憶が失われているからです。 しかし 4人が何度も学校の体育館裏で練習した 『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』をカナコが踊ると シオリも勝手に体が動き踊りだします。

『えっ 何?』 不思議に思う シオリを残し カナコは次のパラレルワールドに向かいます。



これ 私の大好きなドラマ『天使とジャンプ』 の夏菜子にそっくりでした。本広監督は 何かを必ずオマージュとして 物語に挿入しています。 舞台中央に 黒く立っている大きな物体も『映画 2001年宇宙の旅』の謎の黒石板“モノリス”です。映画を見た方はご存知でしょうが "モノリス"に触れた猿人が 進化し現代人になるという その"モノリス"の謎を探るべく 人類は旅をします。その 進化 未来 を暗示する"モラリス"が 舞台のど真ん中にそびえたっています。

そんな 本広監督です。『天使とジャンプ』を意識するくらい 簡単です。私は そう読みときました。



次のパラレルワールドは『アヤカ』の世界です。

アヤカは 演劇部の部長をしていました。もうご存知でしょうが 『幕が上がる』の明美ちゃんの未来です。 先輩たち四人が卒業し 明美ちゃんは演劇部の部長となり 後輩に指導しています。

しかし アヤカは 後輩に対して上手く指導出来なく悩んでいます。 その一人芝居『肖像画』をアヤカがしている時にカナコが現れます。

そして また『 ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』を踊り アヤカも 自然と踊ります。



そして 次は『レニ』のパラレルワールドにカナコは行きます。

レニは 看護師でした。性格はドジで地味。他人の仕事も頼まれると引き受けてしまいます。 あれ? 『幕が上がる』では 一番元気な ガルルです。全く性格が違います。しかし『 幕が上がる』の『肖像画』のセリフを思い出して下さい。

ガルル『うちは早くから母子家庭だったから、私の世話はずーっとおじいちゃんが見てきてくれて
ちょっとそのまま寝ないでよ!おじいちゃん?おじいちゃーん! いつかおじいちゃんがもっと歳をとったとき、守ってあげられるのは私だけなんだ。だから今、私は看護師を目指してます。
ねーんねんーころーりーよー』



私は これが 単に生まれ変わった世界 とは言わずに パラレルワールドと言った 理由がここにあると思いました。

私達は 『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』の舞台で『幕が上がる』のそれぞれの主人公の将来を 観ている そんな不思議な世界。 つまり 私達がパラレルワールドにいるんだと解釈しました。


とても あの感動を伝えられるか これからが不安です。 おそらく 無理でしょう。しかし 時間は掛かりますが 書いていきます。